沼尻元湯洞窟温泉調査ケイビング/沼尻元湯の洞窟温泉探訪

2005年11月20日、小野と小堀で、福島県耶麻郡猪苗代町にある沼尻元湯の洞窟温泉を探訪した。
 前日夜22:00に西武秩父駅に集合。東北へ行くのに何故秩父集合なのか。これは、前日(19日)、小野が浦山ダムの奥にある冠岩沢の竪穴調査に参加していたからである。それが終わってから夜行で運転して野湯を訪ねようというのだから彼(小野)のタフさに驚いた。
 この洞窟温泉行きは1週間ほど前に彼が、「沼尻の奥に洞窟温泉がある」との情報をキャッチしたことにより急遽行く事になったものである。「遅くなればなるほど湯温も低くなるし、雪も積もり出すので、できるだけ早く行こう」と当方(小堀)が急いだため、彼にとっては上記のような強行軍の日程となった次第である。
 秩父を22:00に出発し、加須で東北自動車道に乗った。途中のPAで仮眠して、磐越道の五百川ICで降り、母成(ぼなり)ラインを通って沼尻温泉へ。幸い、天気は所々青空が見える。沼尻温泉から上はスキー場の中の砂利道を登るのだが、昨日降った雪が薄っすら積もっている。三分の一ほど登った所で登れなくなったので、道の脇に車を止め、あとは歩いて登った。8:00発。20分ほどで上の駐車場についた。
 白糸の滝(全体の落差50m)の大きな溶岩壁を左に見下ろしながら、沼尻元湯への雪の山道を登る。登山道脇に沼尻温泉に引湯しているパイプが通っているので、パイプの周辺は雪が解けている。30分ほどで旧硫黄鉱山の跡地についた。道の左側に洞窟が開いているのを彼が見つけた。洞窟温泉とは位置が違うが洞窟となれば見逃すわけにはいかない。洞窟と言っても旧硫黄鉱山の坑道だ。その坑道(約100m?)を通りぬけ、登山道脇の硫黄臭のたちこめる沢に注意しながら登ったら、沢が大きく切れこんでいる箇所があった。「これは怪しい」と早速登山道を外れ沢に下る。
 あった。上流側にナチュラルブリッジが、その下流に洞窟温泉があった。湯温は30度しかないが、外気が冷たいので手を入れれば結構な暖かさに感じる。しかし、湯に浸かるとやはりぬるい。寒さに震えながら着直して、更に上流の川湯に向かう(詳細はPCC資料室の洞窟読み物「洞窟温泉紹介」を参照)。
 硫黄鉱山の廃屋の前を通り、最上流の熱い湯が沢に注いでいるところまでい行った。今日は風も強く硫化水素の臭いもさほどではないので、そこで川湯に入ることにした。湯温は39度。湯だまりは広いが砂で埋まり寝湯しないと全身が湯に浸からない。湯に浸かりながらスコップで底の砂を掘り起こし、やっと座れるほどの深さにした。
 周囲は無雪期なら赤茶けた岩がゴロゴロ散らばっているところだが、今日は薄く雪が積っているので白一色。その中を湯川が一筋、青白く又は黄色くなって流れている。おりから青空も広がり、見上げる稜線の岩肌についている霧氷が美しい。
 体が十分温まるまで長湯をした。1時間近く入っただろうか。手がふやけてきた。そのうち4人連れのパーティーが湯に入りたさそうに近付いてきたので、少々温まり不足だったが、上がることにした。服を着て沢沿いに下ったら、少し下流に湯温40度の渕があった。ここも湯が注ぎ込んでいるようだ。コインを入れたら500円玉、100円玉はすぐに真っ黒になった。恐ろしく酸性が強いらしい。当方の茶色の長靴も漂白されたのか白くなっていた。
 もう一度洞窟温泉を通りぬけ、下流のゴルジュから登山道に戻って帰路についた。帰りはスキー場の中の砂利道も結構雪が解けて路面が現れていた。これならスリップの心配はない。12:20ごろ車を置いたところに戻り、12:40出発。帰りは猪苗代ICから高速に乗り、JR桶川駅で解散した。
(小堀 記)