PCCでは2025年6月1日(日)、洞内3D測量を目的として静岡県富士宮市にある「婆々穴(ばんばあな)」にてケイビングを行った。3D測量は2024年12月1日及び2025年3月9日からの継続活動である。
メンバーは、L小竹・今野の2名。
朝8時半に現地集合としていたが、2人とも渋滞回避のため早い時間に現地入りしたため、予定を前倒して7:15頃から活動を開始した。
前回同様に、60mロープの両端を別々の木々にリギングしロープ中央を穴の底につけて余らせる形をとった。この方法はチロリアンを組むよりも簡単に早く設置ができることがありがたい。
今までリギングを他人に任せきりであった小竹は、この機会に今野からラビットノットをレクチャーしてもらい、ロープの一方のリギングを行った。ロープ設置状態の確認すべく穴の中を覗き込むと、普段より激しく大量のコウモリが飛び回っていた。
それぞれがリギングしたロープを使って、ほぼ同時に速やかに洞内にSRT降下した。穴の底は相変わらずカエルが多い。
横穴部へ進み、3Dスキャン未完了部分の端(洞口側)を確認した後に、そのまま2人で奥へ向かった。洞内も普段より多くのコウモリが飛び回っており、我々の移動に追われるように奥へ逃げて行った。3Dスキャン未完了部分の端(奥側)で、前回目印として残していた石を確認した。前日に前回のデータを見返して洞内地形を確認していたものの、記憶が薄れかけていたので、目印を見つけられるか少し不安があったが、スムーズに発見できて一安心であった。
その地点から小竹は洞口側へ戻りながら3Dスキャンを開始し、今野はいったん洞口側へ戻ってから奥へ向かって3Dスキャンを行う挟み撃ち作戦を実施。2方向から3Dスキャンを行い、出会ったところで終了した。この時点で時刻は9:45であった。

3Dスキャン作業が完了したので、洞口へ戻りSRTで登り返して出洞。iPhone上での3Dデータのポリゴンメッシュ化処理を行いながら、ロープ類を片付けた。iPhone上での処理が終わった時点で、小竹が今野からAirDropによりデータを受け取り、残りの片付けを今野に任せて車まで戻った。車にて、持参してきたPCを用いて3Dデータのつなぎ合わせを行い婆々穴の3Dモデルをクイックに暫定版として完成させた。

また、2025年3月31日に提供範囲が大幅拡大された国土地理院の数値標高モデルを3D化して洞窟3Dモデルと統合して3D表示を行った。
前回までの活動で洞内にて洞口側へ風が吹いているのを感じていたため、どこかに地表と極めて近い箇所があり小さな隙間で通気しているのではないかと期待していたが、3Dモデル上で洞窟天井と地表との距離が近い箇所は確認できなかった。
風が吹くのは、地表から洞内への非常に微細な通気経路が無数にあり寒暖差により洞内から洞口方向へ空気が流れるためではないかとの今野の意見があった。洞窟内外の温度差が少ない今日は風をあまり感じなかったこと、また前日までの雨のためか今日の洞内は滴下水も多かったことから、地表からの通水経路は無数にあるであろうことが推察でき、今野の仮説は合理性がある気がする。


データ確認まで終えて時刻は11時過ぎごろ。
3Dスキャンに慣れた2人が連携して作業したため、全ての活動が非常にスムーズであった。効率重視のあまり、今日の活動はまるで業務のようだったと笑いあった。
時間が余ったので、前回たまたま出会った現地の方が教えてくれた小さな横穴を探しに行くことにした。現地の方に話をきいておよその場所をスマホ地図上にプロットしていた今野が先導し、車で少し西へ移動。地表を大きく削っている枯れ沢の中を歩くと、西側斜面に洞口が見つけられるはずとの情報であった。車を降りて教えてもらった枯れ沢をしばらく歩いたが、見つけられたのは崩れた石の隙間に直径20cmに満たない小さな穴のみであった。
12時ごろに活動終了し、現地解散した。
婆々穴の3Dスキャン結果は以下にて公開している。
https://cavemapper.github.io/CaveViewer/
(小竹 記)