二子山洞窟探索

 1985年4月14日(日)、晴れ。埼玉県秩父郡小鹿野町の二子山で第1次洞窟探索を行う。参加者は芦田、廣瀬、白幡の3名。
 最初の予定では、埼玉県秩父郡大滝村大血川横岩沢にある横岩沢の水穴を測量するはずだったが、秩父鉄道のストで行けなくなってしまった。そこで急拠、目的地を二子山に変更し、洞窟探索を行うことにした。
 二子山は埼玉県と群馬県境にある全山石灰岩の山である。調査局の資料でも、無名の鍾乳洞が、いくつかあるということがわかっていたが、PCCでは、まだ1度もアタックしたことがなかった。日帰りできない所ではないが、やはり相当、遠方であるため、今まで行く機会がなかったのである。
 西武秩父駅よりバスで1時間半。終点坂本より徒歩1時間ほどで岩峰の直下に至る。二子山は東岳と西岳の2つの岩峰からなる山で、今回は東峰だけしか探索できなかった。
 芦田は、東岳の南側の岩峰直下を東へ移動しながら探索した。股峠のすぐ下付近で、大天狗と小天狗をを祀る祠(ほこら)の横にある10mの洞窟を確認。規模は小さいが、二次生成物はよく発達している。一応『二子山の天狗穴』と命名した。他に5mはどの小穴を2本確認した後、北側に回り込んで、白幡、廣瀬と合流した。
 一方、白幡、廣瀬の方も、祠(ほこら)のある10mほどの穴を確認。さらに同じ規模の穴を2本発見した後に、風が吹き出している洞口を発見したが、3mほどで入洞不能になってしまった。
 3人の合流後、再び風が出ている穴にアタックした。行き止まりの天井に真上に向かう竪穴があり、それが落石で塞がっていた。そこで、その落石を排除したところ、入洞可能となった。チムニーで約30m登ると、崖に開口する洞ロへ向かう支洞があり、竪穴主洞はさらに上に延びていた。しかし、時間がなくなり、それ以上の探検はできなかった。また、これ以上は竪穴装備なしで登るのは困難であった。
 なお、この新洞窟は風が吹き出していて、上に向かう竪穴だったことから『天風洞』と命名した。
(芦田 記)