豆焼沢・瀧谷洞探検ケイビング

パイオニアケイビングクラブでは、2020年10月24~25日で瀧谷洞ケイビングを行った。
参加者は濱田、臼倉、林田、澤木、今野、渡邉の6名。
今回の目的はABC(キャンプ地)のメンテナンス、洞内梯子の補修、ファンケイビング等。

■10/24(土) 天気:晴れ
一行は林田車、今野車の2台にそれぞれ乗車し、12:30頃出会いの丘で集合した。到着後、各々出発の準備に取り掛かる。

13:30
出会いの丘を出発。瀧谷洞は秩父の深い山奥に位置するため、道があるか無いか怪しい雰囲気の山道を2-3時間程度程歩く。アクセスルートの多くの場所が急な斜面のトラバースであり、滑ると滑落の恐れがあるため慎重に歩みを進める。

テンションの高い一行
崩れやすいトラバースが続く
トウの滝


17:00
通常であれば2時間程度で到着する距離だが、重い荷物を持った山行に慣れていない某一名(私、渡邉)のペースに合わせて頂き、夕暮れ前に到着した。

時期的に日が短くなってきているので、暗くなる前にキャンプ地であるABCのセッティングを行う。ABCは洞窟のため滴下水が多く、野営用テントの上に滴下水除けのシートを張る必要がある。メンバーで協力し、寝床の確保、入洞準備を行った。

ABC前にて準備を終えた一行


19:00
ABCを出発。今回は上層の洞口から入り、洞内を降り下層にある別の洞口から出る予定である。

エントリーする予定の瀧谷洞第一洞口は、ABCからさらに急な斜面を40分ほど登った場所にある。すでに日は落ち辺りは真っ暗なため、ここからヘッドライトを点灯し、残置ロープを頼りに滑りやすい急斜面を登っていく。

滑落に注意しながら急な斜面を登る

普段人が歩くことのない稜線付近は極めて落石が発生しやすく、足元に注意して歩かなければならない。途中長さ1mに迫るサイズの不安定な岩がルート上にあり、危険と判断したため排除した。


19:30
第1洞口到着。瀧谷洞の入り口は柵で厳重に管理しているため、鍵で扉を開けて入洞する。入洞後すぐに壁が真っ白なことに気づく。瀧谷洞の二次生成物はとても白く、入洞している人も比較的少ないためとても美しい。

洞口付近 二次生成物の白さが際立つ

狭い通路を抜けると竪穴があり、ここをトラバースして行く。
古い梯子がかかっているがすでに崩壊しかかっているため、残置ロープにハンドアッセンダーを掛けた状態でなるべく梯子に負荷を掛けないよう一人づつ慎重に進む。
当初の予定ではここにラダーとロープでルート構築をする予定だったが予定より大幅に押していたため、今回は持参したロープ等を残置し、次回作業を行うこととした。

ロープに確保を取りつつ崩落しかけた梯子の端を歩く



20:15
全員無事最初のホールを抜け、狭い通路を奥へ奥へと進む。

この辺りはコウモリが多く、それに伴いグアノも多いため大変芳しい場所である。進んでいくと広い回廊部に合流する。
”メインルート”呼ばれる場所であり、大洞窟感がひしひしと伝わってくる。
時折大きな段差があるため、チムニーをしながら越えてゆく。

メインルート 純白の鍾乳石が美しい



21:00
さらに進んでゆくと「ゴーーー」という水の音が聞こえてきた。
と同時に天井が一気に開け、巨大な竪穴ホールに到着した。
”大聖堂”と呼ばれるポイントである。

非常に迫力があるホールでしばらく見入ってしまう。大聖堂の横にはもう一つ竪穴部があり、そちらは地下の滝となっている。大聖堂とは複数の穴でつながっている為、そこから伝わって来る音が聞こえてくる水音の正体である。

お誂え向きのお立ち台も完備しているので、記念撮影には持ってこいである。今回、綺麗な写真を残そうと一眼カメラを持参したため、定期的に撮影イベントが発生する。

大聖堂 大迫力の竪穴ホール



21:30
次はエンジェルホールを目指す。
竪穴部をチムニーで進むなかなかエキサイティングなアクセスルートである。

エンジェルホールは上下二段に分かれている竪穴で、それぞれが20mほどの高さがあり、メインルートからさらに上層に向かう方向に伸びている。ここからは垂直昇降のため、SRT技術が必要だ。

下のエンジェルホールを登ったところに綺麗なリムプールがあるとのことだったため、それを目指す。ただし6名全員が登るには時間がかかってしまうため、今回初瀧谷洞の澤木、渡邉(サポートで濵田)のみ登ることとした。

下のエンジェルホールを登る

滴下水に打たれながら登り切ると真っ白の池が現れた。瀧谷洞の白さが際立つ美しいポイントだった。

真っ白なリムプール



22:45
これまでは洞口からほぼ水平に進んでいたが、ここからは下層へどんどんと下ってゆく。

瀧谷洞は横穴と竪穴が縦横無尽に張り巡らされた迷宮のような構造をしており、下層へ向かうルートもいくつかあるが、今回は”放水路”と呼ばれる通路を使い下層へ向かう。

ここは地下のゴルジュというようなポイントで、いかにも水流によって穿たれた通路といった雰囲気である。流量は少ないものの現在も水流があり、深い水たまりが多くある。靴が水没しないようにチムニーで進む。

放水路 天井の高い通路を進む


23:10
水流ポイントを抜けると二次生成物が多く見られるポイントに到着した。石筍や石柱、ストローが発達しており、いかにも鍾乳洞という雰囲気が味わえる。
これらを折らないよう気をつけながら、しばし写真撮影を行う。



23:30
続いては”Mルート”と呼ばれるポイントを通過する。

ここからエクストリームな瀧谷洞が片鱗を見せ始める。今まで通過してきた場所とは違い、”床が無くなる” のである。瀧谷洞は最下層に川が流れており、我々が通過しているルートはずっと昔に川が流れていた場所である。そのため床は水流で削り取られ、無数の竪穴が口を開けている。

ベテランメンバーがあらかじめ確保用のロープを張り、他のメンバーが続く。足を滑らさないよう慎重にチムニーをしながら歩みを進める。

Mルート 落ちないようチムニーで突っ張りながら進む



AM1:00
気づくと日を跨ぎすでに午前1時を回っていた。尚も無限チムニー地獄である。

徐々に下層へ近づいてきており、最下層の轟川の音が文字通り響き渡るのが聞こえてきた。この辺りは形成された年代が比較的新しいため、周囲の石灰岩の風化があまり進んでおらず、水流で削り取られたままナイフのように切り立っている。二次生成物もあまり見られない。手足を怪我しないよう、またうっかり足を滑らせないよう慎重に進むため、自ずと進むスピードもゆっくりになる。

徐々に高度を下げてゆくと、落差2m程度の滝に差し掛かった。経験者曰くこの滝の中を濡れながら進むという。やめてくれすでに寒い。なるべく濡れないよう進むが、努力虚しく無事全身ずぶ濡れになった。

チムニーがひたすら続く
大きい段差はSRT装備を用いて降りる



2:00
切りたった岩肌のチムニー地帯を抜け、一行は大きな竪穴が連なる地帯に差し掛かる。

非常に高低差がある箇所であり、この辺りでルートは一気に高度を下げてゆく。順にSRTを用いて竪穴を降下していく。

入洞してからすでに6時間程度経過しており、先ほど全身が濡れてしまったため非常に寒い。だが、注意力が散漫になるこのような状態の時に事故が起こりやすいため、気を引き締め降下してゆく。”メインシャフト”と呼ばれる竪穴は特に規模が大きく、壮大な造形だった。「ゴーーー」という音が下方から鳴り響く。

メインシャフト降下中

2:40
一行は”獣骨ホール”へと到着した。
獣骨の名の通り、落下した獣の骨が発見された場所であり、天井方向へも高く伸びた規模の大きいホールである。寒さに耐えつつ皆で記念写真撮影を行った。非常に面白い地形が多く見られ、普段ならばここだけで3時間くらい写真を撮っていられる場所ではあるが、いよいよ疲れも見え始めたため進むこととする。

獣骨ホール 天井の高い荘厳な空間
天井方向

出口方向へはさらにSRTで竪穴を下る必要がある。
垂直ではなくやや斜めに下るため、壁に足を立て進んでいく。その光景はさながらアクション映画のワンシーンの様である。

獣骨ホール下部の竪穴を降る
気分はミッションインポッシブル



3:30
全員無事獣骨ホールを抜け、最下層部に到達する。
轟川のすぐ上を再びチムニーで進んでいく。一生分チムニーをした気分である。

ここで2班に分かれ、濵田,澤木,今野の3名は早めに出洞するべく先に出発した。林田,臼倉,渡邉は撮影を行いながら進む。

轟川は水質が良く、非常に透明度が高い地底湖を有している。
ライトを水中に沈めるとその美しさが際立つ。

ライトを沈めた瞬間蒼く輝く地底湖
轟川直上で駄目押しのチムニー


さらに進むと、チムニーを抜けガレ場地帯に差し掛かった。
疲労困憊の身体に鞭を打ち、崩れた岩の隙間を抜けてゆく。
いよいよ出口が近いためか、空気の流れを感じる。



4:20
岩の隙間を抜けた瞬間突然広い空間が現れた。
今日通ってきた中で一番巨大な空間である。これが噂の”嶺明の間”である。
各先輩方が「外に出たと思った」と記録していたが、なるほどその通りである。

今でこそライトが高輝度になっているため見渡せるが、当時のライトでは誰しもがそう思うであろう巨大ホールだった。
一行は寒さも忘れ(主に私渡邉)、撮影を行った。




5:00
撮影を終え無事全員出洞。時間を確認するとなんとAM5:00。実に10時間に迫る洞内活動時間だった。嶺明の間近くの洞口はABCから近いため、10分程度で帰着した。

体が芯まで冷え切っていたため急いで着替え、先発組が温めてくれていた汁物でホッと一息。すでに朝になってしまってはいたが、全員で宴会を楽しんだ。かつてない程ビールが染み渡る…

宴会後、全員すぐに眠りについた。

活動終了後の宴会  …最高。




■10/25(日) 天気:晴れ  

13:00
残置されていたゴミ等をまとめ、ABCを撤収。
一路出会いの丘へ。
洞内よりはマシだが、前述の通りアクセスルートはそれなりに危険なため、気を抜かずに進む。

ABCの残置物の回収もしっかり
いい景色だね


16:30
全員無事出会いの丘到着。
私渡邉は、今回予てより憧れだった瀧谷洞の初ケイビングだったが、噂に違わぬダイナミックな洞窟で非常に有意義な活動だった。今後は是非回数を重ね、今回通らなかったルートはもちろん、未踏ルートなどへも挑戦したい。

(渡邉 記)