PCCでは、瀧谷洞研究のためのルート整備、ルート確認を目的として2023年6月10日(土曜日)埼玉県豆焼沢にある 「瀧谷洞」にて、ケイビングを行いました。
参加メンバー 3名
L 林田、SL 臼倉、白石
ルート
第二洞口→処女の池→第二洞口
2022年5月29日に発見された「処女の池」。
7月20日に第一回目の調査に入り「処女の池」の先には2倍ほどの大きさの地底湖、その先には空間がある事が分かった。
9月11日には第二回目の調査を予定していたが増水により断念しており、今回が実質二回目の調査となる。
過去の経緯より、処女の池は梅雨時期に増水してそこから徐々に水面が下がり、最も水量が少ないのは梅雨前であると予想し、6月初旬にアタックすることとした。ただ、例年より早く関東は既に梅雨入りしてしまい、また既に1週間ほど雨が降り続いていたため、どの程度増水しているかがわからない状況だった。
そのため、5mmのウェットスーツ、フィン、マスク、水中ライトに加えて6kgのウェイトを分担して担ぎ上げることとした。宿泊のための機材が無いとはいえ、なかなかの重装備である。とはいえ瀧谷洞に慣れたメンバーだったため、予定時間より少し早く下の洞口に到着することができた。
ウェットスーツの上からケイビングスーツを羽織り、水から上がった後の冷え対策のためにウェットスーツの下にはドライレイヤーを着た状態で入洞した。5mmのウェットスーツは動きづらくて息がしづらい上、6kgのウェイトと50mmロープを運ぶのはなかなか大変だ。処女の池へのSRTも、少し時間をかけて休みながら登った。
処女の池に到着してみると、やはり水面は2022年5月末より上がっており、奥への空洞は閉じていた。先行する林田が装備を整え、青く美しい地底湖へと入水する。何かあった時に引っ張れるように、ロープをハーネスに結びつけ、後続メンバーに持ってもらった。水温6度はやはり冷たいが、5mmのウェットスーツがあれば問題なく耐えられる。
息を大きく吸って、潜水。奥を目指す。完全に水没しているのは長さ大体1mほどなので、一瞬である。奥の水面が見えたので浮上、息を吸いつつ周りを見渡す。そこには想像していたより大きな空間が広がっていた。
第一回目の調査時、濱田からは「壁がずるずるで登るのが大変そう」と聞いていたが、今回は水面が少し高くなっていたためか簡単に登ることができた。安全を確保して、後続の白石へ合図を出す。声は通らないため、ロープを2回引く。これが「来ていいよ」の合図だ。後続側もロープを2回引いたことを確認し、白石が来るまでしばらく待機することとした。
水中ライトの光が何度か見えたため、すぐ来るものと思われた。が、何分待っても来ない。ウェイトが足りず、水中でロープを辿るのが難しいのかなと思い、自分のウェイトを外してロープに括り付け、後続へ渡す。受け取ったようだったので、ロープは一旦壁に固定し、周囲を見て回ることにした。
処女の池の奥は、このときはひょうたん型の水面をしており、手前の水面と大きさは同じくらいだった。水面は幅5m、長さ7m、高さ4m程度のホールに開いている。そこから轟川に沿って、洞口方面に15m程度の通路がある。通路の先、最奥部には高さ2m程度のところに人がぎりぎり通れる程度の穴が空いていた。チムニーで登っていける感じだったが、一人だったためチャレンジせずに引き返すこととした。全体を通して人が入っていないため壁面は白く、小さなリムプールや美しい鍾乳石を多く見つけることができた。
未だ後続が来ないため何らかトラブルがあったものと判断し、戻ることとした。再び水中装備に戻し、入水。ウェイトが回収されたままだったため、ロープを手繰って戻る。大きく息を吸って、接続部の上部に体を擦りながら水面へと浮上した。
後続の2名は無事だったが、どうやら接続部の長さがどの程度なのかわからず、怖くなってやめた、とのことだった。実際のところ接続部は短かったのだが、途中でパニックになって事故を起こすよりは良い。
前回訪問時に白石が処女の池に落としたカラビナを林田が潜水して回収し、その後撤収することとした。林田がヘルメットに装着していたGoProの映像を後から共有することで、後続の2名には処女の池の奥を追体験してもらうことにする。
水に入った後に動かず待機していた白石は少し体が冷えていたようだが、動き始めれば問題無いようだった。難なく洞口まで到着し、その後下山。予定よりかなり早く活動を終了した。
今後、処女の池は増水期に入るものと思われるが、奥へを繋がるロープを残置しておいたため、それを辿れば簡単に奥に進むことができるようになった。ウェイトやフィンが不要になるため、装備も軽量化できる。
今後の探検で、通路奥の小穴突破を目指したい。
(林田 記)