2021年5月16日、PCCでは初心者の練習のため、奥多摩のちょうちん穴にてケイビングを行った。
メンバーは、PCCの林田と桑原に加え、体験の山田、松岡の計4名。林田以外の全員がケイビング初体験とのことで、今回はなるべく安全なルートを選択することにした。
まずは第一洞口から入洞。初体験の3名は既に想定と違ったようで、入口の狭さに驚く。林田の先導と危険個所のサポートで徐々に降りてゆき、途中飛び交うコウモリに興奮しつつ、最下層に到達。
第二洞との接続部を確認した後(ここでも狭さに驚く)、全員のヘッドランプを消して真の暗闇を体験することに。
時間経過でも目が慣れないことや、静寂の中聴こえてくる水滴音を通じて、メンバーそれぞれ何かしら感じることがあったようだ。
再びヘッドランプを点灯し、光があることの安心感に笑顔になりながら再出発。
次は匍匐前進ルートで最奥部を目指すことに。
林田の先導の後、まずは松岡が挑戦。実は松岡は閉所・暗所・高所恐怖症という三重苦を抱えているとのことだったが、一番小柄ということもあってか、特に問題なく通過する。
次に山田が挑戦。山田は身長が高いこともあり、臀部が少しつっかえた。が、足で少しずつ前進し、最後は松岡が腕を引っ張って無事に突破。身体が詰まることの恐怖を少し感じることができたようで、よい経験になったようだった。
最後にPCCに直近入会した桑原が挑戦。桑原はまず胸がつっかえたが、「大きく息を吐いて」という林田のアドバイスを受け、パニックになることなく少し前進。次に臀部がつっかえたが、足で前進して突破した。
最奥部を目指してさらに進む。滑る傾斜に苦戦などしつつも、無事に最奥のPCCプレートを発見して集合写真を撮影。達成感も得られたところで、一旦休憩をとることにした。
初ケイビングで何を感じたか聞いてみたところ、
「写真じゃこの感覚は伝わらない」
「背中を使って動きを感じるスポーツは他にないのでは」
「1mmでも前進していることに喜びを見出すスポーツ」
「加齢による可動域の低下を特に感じる」
「酸素が吸えることに嬉しさを感じる」
といった感想が上がった。
一段落したところで、上層への移動を開始。今回は奥側のルートを選択。林田がサポートしながら、高低差のある場所を一人ずつ登ってゆく。
このころにはチムニーもある程度できるようになり、全員危なげのない登りで突破した。登った先にあるコウモリのコロニーは留守のようで、一匹も見ることができなかった。
出洞に向けてさらに上を目指す。山田も高所恐怖症とのことだったが、普段からアスリートとして体を鍛えていることもあってか、次の登攀も難なく突破。松岡は身長の分少しリーチが足りず、足場の指導を受けながら突破。桑原も年齢を感じさせない腕力で突破した。
下降時とは別のルートで洞口まで向かい、出動。2時間弱程度の活動だった。
この時点で既にある程度満足していたが、小雨でSRT訓練をしないことになったので、第二洞にも入ってみることにした。第一洞は山田の先導で降りてゆき、ハート型の開口部で写真を撮影。
その後連結部の確認をするために下層の狭いルートへ。身体を「く」の字に曲げる部分の手前まで行き、今回はそこで引き返すことにした。
「活動の最初と最後で価値観が変わった」との感想もあり、どうやら満足度の高い活動となったようである。林田としても、未経験者がケイビングを好きになってくれるのが純粋に嬉しい。新規入会希望者も増えており、これからますます賑やかに活動できることが楽しみでならない。
(林田 記)
※「ケイビング 入門とガイド」では第1洞と第2洞、第1洞口と第2洞口が逆になっている。詳細はケイビングジャーナル第73号「東京都西多摩郡奥多摩町川苔谷「ちょうちん穴」の呼称」を参照のこと。なお、このページでは正しい表記に修正してある。