1984年7月1日(日)。晴れ。東京都西多摩郡奥多摩町倉沢の倉沢鍾乳洞で第29次探検ケイビングを行う。参加者は芦田、廣瀬、深用の3名。
この日は、久々の好天に恵まれ、倉沢鍾乳洞の『旋風洞』内の『上層部新洞』の再調査を行った。ここは昨年11月に発見した新支洞であり、その時点での全長は約50m、最上部地点の高さは本洞レベルから約25mであった。
今回の目的は、最上部の埋没部分を掘ること。そのためにシャベル、バケツ、クワを持ちこむ。まず第一貫通部を抜けると小ホール。ここは、とくに風の音がすごい。そして、とにかく寒い(思わずタイベックを着る)。そこからチムニーで第二貫通部を抜け、上層部に至る。
そのあと、各自分担で徹底調査。しかし、いずれも悪条件で作業は困難をきわめ、今回は成果なしと思われたが、深田が風の流れる狭洞突破に成功した(第三貫通部)。
この新支洞を調査した結果、全長は約30m(『上層部新洞』合計では80m)、最上部地点の高さは本洞レベルから約40mになった。また、最上部付近では白いゲジゲジを2匹確認、倉沢鍾乳洞では珍しいものであった。さらに洞床には多数のコウモリの骨が散乱していた。
以上のことから、この新支洞は生物学的にも貴重な存在であり、今後の成果に期待したい。
( 深田 記)