石間川・滝ノ沢洞窟探索/沢戸の小仏穴調査ケイビング

 2001年3月18日(日)、晴れ。埼玉県秩父郡吉田町(現秩父市)で石間川及び滝ノ沢第2次洞窟探索を行う。参加者はPCCより芦田、星野の2名、亀戸ケイビングクラブより牧野氏、計3名。
 今回の主目的は先週の活動で発見した滝ノ沢の石灰岩体で洞窟探索であった。しかし、その前に地質図上で比較的広範囲をしめる石間川右岸の石灰岩体で洞窟探索を行うことにする。沢戸集落の付近から枝沢沿いの林道を登っていくと、沢すじに石灰岩の転石を確認できた。その沢の出合い付近に車を止めて、着替えをすますと山へと分け入った。
 しかし、ここでアクシデント発生。芦田がなんの変哲もない段差を乗り越えようとしたとき、ぎっくり腰になってしまったのである。まったく体を動かすことができず、探索よりリタイヤしてしまう。また、助っ人の牧野氏も杉林に入ったとたん、花粉症で絶不調に! いきなり幸先の悪い出だしであった。
 案の定、探索の成果は今ひとつで、牧野氏が沢すじ上方で若干怪しい地形を確認したのみで、洞穴はもちろん、石灰岩壁を発見することさえできなかった。そこで、この山の裏側に向かおうということになり、車で林道を移動することにした。そして、林道終点から目的の沢に徒歩で向かうが、なんと、こちら側は谷が日陰になっていて、積雪がけっこうある。おかげで石灰岩の転石も岩壁も確認することができない。結局、石間川右岸に広がる石灰岩体での洞窟探索は断念することにした。
 午後からは滝ノ沢で洞窟探索をやろうと、再び沢戸の集落まで戻ると、道路から見上げる位置にある洞口のようなものが開口しいるのが確認できた。さっそく、そこまで登ってみると、自然洞であることが確認できた。全長10m強の穴で、洞口には石仏が祀られていた。地元での名称が不明なので、とりあえずは「沢戸の小仏穴」と命名した。
 午後は、いよいよ石間川左岸にある滝ノ沢に入ることにする。すると入ってすぐに右岸側に石灰岩壁を確認した。その辺りから上流に向かって、ずっと延々と石灰岩体が続いているようだった。そして、集落のはずれでヒヤリングしたところ、滝ノ沢の右側支流の上流に穴っぽいものがあるという話を聞くことができた。
 そこで、まずは滝ノ沢を登ったら右側の枝沢に入ってみることにした。滝ノ沢本流から分かれて少しすると、石灰岩のナメ滝を確認した。ナメ滝の石灰岩は激しく溶食されていて、確かに穴っぽいものも見受けられるが、残念ながら石灰洞ではなかった。
 その枝沢の右岸沿いに下り、尾根を越えて滝ノ沢本流に下った。本流左岸には石灰岩壁が続いていた。それを上流に向かってつめいき、前回の探索で確認した石灰岩壁まで到達してしまった。しかし、残念ながら新洞を確認することはできなかった。そのかわり激しく溶食された岩壁を数多く確認した。
 今回の滝ノ沢での洞窟探索は石灰岩壁の規模の割には成果が乏しかったが、付近の山全体は石灰岩体であることはまちがいないので、今後は横穴だけでなく竪穴をも含めた面での探索に期待をかけたいところである。
(芦田 記)