2001年2月3日(土)、長崎県西彼杵郡西海町にある七ツ釜鍾乳洞及び西海楽園化石の森、楽園鍾乳洞を探勝した。参加者は芦田(宏)、芦田(理)の2名。
宿泊した七つ釜観光ホテルの目の前にある観光洞が七ツ釜鍾乳洞である。シーズンオフのせいか、料金所も洞口前の小庭園も閑散としていた。
七ツ釜鍾乳洞は観光洞の清水洞をはじめ、数多くの横穴や竪穴などの総称で現在は20数か所以上の洞穴が発見されている。この鍾乳洞群は1928年(昭和3年)8月に発見され、1929年(昭和4年)7月に長崎県の史跡名勝に指定されている。さらに1936年(昭和11年)12月には清水洞(約1500m)が文部省指定の天然記念物に指定されている。そして、清水洞の一部(約250m)が観光コースになっており、事前に予約しておけば、奥部の探検コース(約800m)も案内してもらえる。
入り口付近からしばらくは天井も低く、人がすれちがうのもむずかしい狭洞であるが、しばらくすると天井高が高くなり、メアンダートレンチの通路となる。さらに滝の付近からは洞幅も広くなり、鍾乳石も散見されるようになる。じつは七ツ釜鍾乳洞は石灰洞ではなく、全国的にも珍しい砂岩洞である。ここの鍾乳石は砂岩の中にある石藻という石灰分から作りだされている。
洞内をじっくりと観察しながら進んでいくと、ついに観光ルートの終点に到達する。これより先は檻状のドアがはまっていて、進入できないようになっている。行き先は梯子で下に降りるようになっいるが、梯子を降りきれば横穴のようである。暗くてよくわからないが、なんとなく観光ルートよりは広い通路が続いているようにも見える。
この後、人工のトンネルで洞外に出ると、目の前に丸太小屋があり、室内には七ツ釜鍾乳洞の測量図面や鍾乳石などが展示されていた。
ここから料金所まで戻るルートは涸れ谷沿いの遊歩道となっていて、谷の両岸には浸食された奇岩奇石が立ち並んでいた。これら砂岩の浸食地形は石灰岩のカルスト地形とは、また違った雰囲気をかもしだしていて、興味深い眺めだった。
通常、この観光洞~遊歩道ルートは30分前後で見て回れるのだが、じっくりと観察しすぎて、すっかり時間を食ってしまい、遊歩道を戻り始めたときには入洞してから1時間以上が過ぎていた。職員の方が戻らぬ客に不安になった(たぶん)のか見回りにやってきた。
管理事務所で七ツ釜鍾乳洞に関する話を30分ほど伺い、その後、真向かいにある──つまり、宿泊した七ツ釜観光ホテルに隣接する──仏教テーマパーク「西海楽園」に向かった。ミニ遊園地やミニ動物園があるかと思えば、観音像やお堂があったりと、一見、じつに怪しげな園内であるが、ここにはケイバーとして見逃せないものがある。それは「楽園鍾乳洞」と命名されたミニ観光洞である。もともとは閉塞洞だったらしく、洞内の二次生成物は非常に美しい。最奥部に観音様が祀られているのはご愛敬である。
楽園鍾乳洞を見学した後は丘の上に広がる「化石の森」を見学した。七ツ釜鍾乳洞の遊歩道で見かけた砂岩の浸食地形であるが、被覆土をすべて取り払ったのだろか、こちらの方が奇岩奇石ぶりが顕著である。この非日常的な景観があるがゆえの仏教テーマパークであることが納得できる風景である。
(芦田 記)