2022年11月6日、PCCでは調査ケイビングを目的として岩根洞にてケイビングを行いました。
参加メンバー5名
L濱田、SL林田、小竹、長井、高井
活動内容
洞窟内蜘蛛調査、3Dスキャン測量、洞内環境保全活動
■3Dスキャン測量
林田および小竹で分担して、iPhoneのLiDARを用いた3Dスキャン測量を行った。
これまで何度か洞窟の3Dスキャン測量を試行してきたことでノウハウが蓄積されつつあり、2~3時間で洞内全体の3Dデータを取得できた。
出洞後に分割して取得した3Dデータをつなぎ合わせ、過去の測量図と比較したところ、概ね形が一致した。どちらがより真に近いのかは未検証である。
3Dデータでみると、実際に入洞して体感でイメージしていたよりも複雑な洞内構造であることが見て取れた。
■蜘蛛調査
本洞窟では、コホラヒメグモ属の一種(以下コホラヒメ)、ナミハグモ属の一種(以下ナミハグモ)、コタナグモ属の一種(以下コタナグモ)、ヒナマシラグモ科の一種(以下マシラグモ)が見られた。
洞内全体に大小様々なガレが転がっており、コホラヒメおよびコタナグモはその裏面や洞内壁面(主に天井部)に造網していた。コタナグモの多くとナミハグモはB付近でみられ、A付近のガレの下にもナミハグモ特有の三叉状住居が見られた。マシラグモは『岩根洞調査報告書』測量図におけるAとBの間”鍾乳石ホール”付近のガレの隙間に多数見られたが、他の似たポイントでは全く見られなかった。コホラヒメおよびコタナグモは洞外の朽木裏などにも見られたが、コタナグモは成体が採集できなかったため、洞内のものと同種であるかは不明である。
生殖器形態を観察した限り、コホラヒメは洞内・洞外ともに同種と考えられる。
また、クモの他にコウモリ類、コシビロダンゴムシの一種やワラジムシ類(濃色大型の個体と淡色小型の個体がそれぞれ一匹ずつ)、グアノ周辺にトビムシやハネカクシ類、奥の池にサワガニが見られた。
■洞内環境保全活動
洞内の鍾乳石など二次生成物が乾燥することを防ぐため、濱田が洞内通路を塞ぐ板を製作し設置した。
■そのほか
鍾乳石のカーテンや石筍など、立派な二次生成物が多く見ごたえのある洞窟であった。
洞窟の最下部にある小さな池に、3~4cmほどのカニが生息していた。
洞内壁面に菌類と思われる白い物体が付着しており、サンゴのように枝を伸ばしていた。
(小竹、長井 記)