SRT訓練/長尾谷の壁穴探検ケイビング

1.活動日程

1999年12月18日(土)

2.参加者(敬称略)

大喜多(PCC・NTC)、小山(PCC・NTC)、藤井(NTC)、星野(PCC)、内山(PCC・NTC)の計5名。

3.活動

この企画はもともとNTCのもので、NTC洞窟探検隊の藤井さんを中心に計画された。NTCでは月に1回、人口登攀&SRTの練習会を開こうという企画があり、今回はその2回目であった。当初の計画では、前回同様にちょうちん穴の露岩で練習が行われるはずであった。しかし、先週、PCCが東京都西多摩郡奥多摩町倉沢上流の長尾谷で行った洞窟探索で発見した長尾谷の壁穴が、練習場所として適当であること、また探検もできることから場所を変更して開催された。
当日の天気は、小雨。奥多摩に入ってからは雪に変わった。当然、かなり寒い。寒さでやる気がそがれたが、倉沢林道終点でつなぎに着替え、長尾谷の壁穴に向かった。動き始めると寒さは消え暑くなる。40分ほど山道を歩き、洞口のある露岩に到着した。
長尾谷の壁穴は、その名の通り日原川倉沢支流の長尾谷にある、石灰岩の壁面にポッカリと口を開ける洞窟だ。洞口下2mまではフリーで取りつくことができるが、そこからは少し厳しくなる(登ることはできるかもしれないが、降りるのが厳しい)。洞内はまだ未探検で、先が続いているのかもわからない。今回は登攀の練習会でもあったので下から登攀することも考えられたが、上からザイルを垂らして懸垂下降することになった。
露岩の上にはすぐに回りこめる。ロープを木に結んで藤井さんがATC&クロールで下降、洞口までのリギングをした。その後、順番で下降を開始する。自分はエイト環で降りてみた。エイト環自体は何度も使ったことがあるので、それほど深く考えていなかったが、実際降りてみるとかなり恐怖感があった。原因は雪でロープが濡れていたこと、寒さで手の感覚が鈍っていたこと、濡れた軍手をそのまま使用していたことである。とくに泥で濡れた軍手は寒さを誘発するし、滑るので使うべきではないと感じた。そうこうして壁穴洞口に到着。
洞内は広く、洞口(1.5mx1.5m)より先は1.5mx2.5mの大きさで7mほど続いていた。この洞窟は崩落で広がった穴で洞壁はわずかな洞窟珊瑚を除いては二次生成物は確認できなかった。ホールの奥には上へ続く洞があり、チムニーと匍匐で進むことができる。1.5mほど上がると天井の高さが低い(80cmぐらい?)ホールに出て、さらに奥に続く洞が続いていたが、岩がつっかえていてが先を確認することができなかった。
岩自体は脆かったのでバールで割って先に進む。そこから3、4m程進んだところが、この洞窟の最奥となった。結局、この洞窟は20mほどの大きさで終わっていた。後で星野さんに聞いた話によると、長尾谷の壁穴の洞口から生えている木の枝に、刃物で切ったような切り口があったらしい。どんな人が枝をはらったのかはわからないが、少なくとも洞口前に人が取りついたことはまちがいないだろう。もしかすると、すでに洞内に入洞した人もいるのかもしれない。
長尾谷の壁穴の探検終了後、洞口付近で昼食を摂る。外は雪が降っていて、洞口から見下ろす景色は、なかなか綺麗だった。
探検も終わり、昼食も食べたので、一旦下まで下降する。さっきはエイト環を使ったので今度はストップを使ってみた。やはりさっきと同じように、いつもと感じが違う。ロープを送り出すようにしないと、うまく下降することができなかった。しかし、これにはすぐに慣れることができた。下降器はストップなどSRT用の物の方が楽だなと、つくづく感じた。藤井さんはATC+クロールを使っていたので、次回はこの組み合わせも試してみたい。
洞口下のテラスに降りてから再び露岩の登頂部に回りこんだ。藤井さんが長尾谷の壁穴の左上にも小さい穴を見つけていたらしく、その内部を調査するためだ。ザイルをリギングし直して洞口のあるテラスまで下降する。洞口の大きさはよく覚えていない。匍匐で入るくらい狭かったような気がする。入洞すると右手斜め下に2mほどしか続いていなかった。
調査を終えたので、倉沢林道に戻る。車で少し移動して、倉沢のもぐら穴を探勝する。その後、倉沢の水穴前の林道まで移動した。この辺りには、林道の穴があるはずだ。その穴に行ったことのあるメンバーが今回は誰もいなかったため、洞口を探すことから始まった。だいたいの位置はあらかじめ聞いてある。周囲を探索していると、それらしき洞口が見つかった。洞口まで3m程登り、藤井さんが入洞した。次の日、確認すると、その穴は対岸窟であることがわかった。
日が落ちてきて、疲労もしていたので、その日の活動はそこで終了にした。大喜多さん、小山さん、星野さん、内山の4名は次の日のPCCの活動のために、倉沢鍾乳洞前でキャンプを張った。藤井さんも次の日の予定のため、川苔山周辺でキャンプをしたらしい。

4.結果と次回の課題

・当初予定されていた登攀・SRTの練習をあまりやらなかった。

・長尾谷の壁穴の内部を探検できた。

(内山 記)