1999年11月6日(土)、晴れ。群馬県多野郡上野村の神流川本谷支流大蛇倉沢で第3次洞窟探索を行う。参加者は芦田、内山の2名。
予定より1時間遅れの10:00に大蛇倉沢出合いに到着。着替えをすませ、洞窟探索を開始する。
まず、大蛇倉沢出合い付近の左岸側に見える石灰岩壁に取りついた。そのまま上流に向かって探索するが、何も見つからない。この日は大蛇倉沢のコウモリ穴のディギングをすることになっていたので、そこから大蛇倉沢のコウモリ穴を目指し、一旦、山腹を降りた。
大蛇倉沢のコウモリ穴は、洞口を入るとすぐ小ホールになる。ホール中央の洞床は左手に向かって傾斜していて、そのいちばん陥没したところに下層のホールに続く通路がある。グアノの堆積するその通路を降りて下に行くと、また、いくつかの小穴が開いている。
まず、右手に延びる支洞につまっている土砂をシャベルでどけて進入路を広げようとしたが、その作業が永遠に続きそうな気配なのであきらめた。また、上のホールの奥もディギングしてみたが、同様に今回はあきらめた。
下のホールには、まだ入っていない小穴が2本あった。2本とも下方向に伸びている点が共通している。今回は、そのうちの1本をつめてみた。入ってみると、5mほど下まで降りることができた。そこから水平に延びる洞があったので、のぞきこんで見ると、狭くて母岩が突き出ていたので入ることはできなかった。その3mほど奥にはコウモリが飛んでいる空間が見えた。ここの突破は次回の課題にしたい。
大蛇倉沢のコウモリ穴の出洞後、付近の小穴をのぞきつつ、大蛇倉沢に沿って上流に向かい、堰堤の所で林道に上がる。相変わらず林道は荒れている。所々の道が谷側に削り取られていて、そのうち道自体がなくなってしまうだろう。
途中、林道に石灰岩の転石が大量に転がっていた。その転石の供給元と思われる右岸側に延びる涸れ沢を登って行くことにした。林道から高低差にして約30mほど登ると沢の真中に小規模な石灰岩壁が現れた。その岩壁には溶食でできたと思われる小さい穴がいくつも開いていた。
よく調べてみると、岩壁の右上にクラックがあり、その中に小さい洞口があった。のぞきこんでみると、中にはホールの様な空間が見えた。とりあえず中に入ってみると、水の流れる音が聞こえた。入り口付近は奥行き8m幅4mぐらいのホールになっていた。正面奥には先に続く通路もあった。水の音は左手から聞こえていたが、後で確認することにして、正面に延びる通路に体を突っこんだ。
洞床、洞壁には洞窟珊瑚がびっしりと生成していた。しばらく匍匐で進んで行くと、右に折れるクランクに崩壊した石が落ちていて行く手を阻まれた。その石が邪魔で、その先を見ることはできなかったが、多分狭洞で人が入るのはむずかしいと思う。次回は是非ディギングしてみたいと思いつつ最初のホールに戻った。
水流の音の源を確かめてみると、最初のホール左側の洞床という近いところに水流があった。流出口は幅1m、高さ20~30cmで入れば少なくとも3、4mは進めそうであったが、水に濡れるのとボロボロのつなぎに岩が刺さり痛かったので、今回は入らなかった。次回はここもディギングしたい。水はホール内の落盤の下をホールを横切るように流れているようだった。
この洞窟は50m弱で、ディギングすればあと10mぐらいは延びるかなと感じた。二次生成物は洞窟珊瑚以外に見つからなかったので、「大蛇倉沢のサンゴ穴」と命名した。
大蛇倉沢のサンゴ穴を出て昼食を食べた後、涸れ沢の中央に居座る露岩を左右から迂回して再び涸れ沢沿いを歩いた。しばらく歩くと石灰岩の転石が途絶えたので、尾根に登り別の涸れ沢を下って林道に降りた。林道沿いをしばらく歩いた後(ここは前回も探索した)、再び大蛇倉沢に降りて沢沿いを探索する。林道が最初に転回する辺りまで歩いた所で今回は終了とした。
車まで戻る途中、紅葉が見事に色づいていることに初めて気がついた。神流川のダム工事の影響もあるのか、紅葉が綺麗でも大蛇倉沢には、まったく人がいない。来週には葉っぱも落ちてしまいそうなので、さらに人が寄りつく理由はなくなるだろう。そんなことを考えながら、工事車両しか通らない大蛇倉沢出合いに戻った。着替えをすませ、途中、上野村の「いきいきセンター」に立ち寄り、リフレッシュしてから帰路につく。
今回の成果は50m弱の新洞が1本という結果だった。
(内山 記)