小袖鍾乳洞練習ケイビング

1983年3月27日(日)、山梨県北都留郡丹波山村小袖の小袖鍾乳洞群で第5次練習ケイビングを行なう。参加者は芦田、白幡、廣瀬、細山、村井、渡辺の計6名。
 今回は通称、双口洞と呼ばれる小袖鍾乳洞第7洞に入洞する。双口洞は第1洞よりも小袖川沿い上流右岸の上方にある。沢から急な斜面を20mほど登ると、その名のとおり、目立つ洞口が2つ(じつは3つある)開口している。
 それらの洞口は入ってすぐにつながっているが、そこから左に行くルートと右下へ降りていくルートに分かれている。左側が主洞なので、そちらの方に進む。主洞と言っても、その大きさは人ひとりがやっと通れるくらいで、さらに途中には狭くて、ねじれたところもあり、前進するには非常に手間取る。
 そして、ようやく縦穴状のホールに到着した。前回の小袖鍾乳洞第4次練習ケイビングでは、ここで引き返したのである。上方の縦穴が行き止まりであることも確認してあった。その小ホールの壁──人の頭ぐらいのところに小さい穴が開口している。それが奥へ向かうルートである。そこを抜けると、再び縦穴状のホールであるが、手前のホールよりも規模が大きい。
 ここのホールからチムニーで上方への縦穴を登ってみる。先のホールの縦穴と違い、ここはずいぶん高くまで続いている。途中に3か所ほどテラスがあったが、結局、20mほど登ったようである。登り切ったところは天井高が0.5mほどの小ホールで、そこから横穴が続いている。
 この横穴は非常に狭く、ガレキをのけながら、洞床の泥を掘りながら進まなければならなかった。行き先からは風がきていたが、約15mほど掘り進んだところで時間切れになったため、今回はそれ以上の作業は断念した。ここは前人未踏のルートであり、もしかすると第2洞、第3洞、第4洞のいずれかにつながる可能性もある。
 下のホールまで降り、さらに先に進むと左右に分かれる。左が奥へのルートで狭く、屈曲したところを抜けると、再びホールに出る。そのホールからツルツル滑る斜洞を10m弱降りると、また横穴になる。そのまま進むと、途中、人間が入洞できない小さい穴から風が吹き上げているところがあった。おそらく下に別の洞窟があるのであろう。
 さらに進み、洞床に水がたまった狭洞を抜ける。そして、そのまま進むと、下り気味の超狭洞となり、そこを無理矢理抜けると、小袖鍾乳洞第1洞の奥部である。今回はそのまま外に向かった。
(芦田 記)