ニュージーランドの光る洞窟

全く洞窟に興味のない友人たちと一緒にニュージーランドに行った林田会員が、ワイトモにある鍾乳洞に入ってきました。

2019年2月2日(土)〜10日(日)にかけてニュージーランドをグループ旅行中、世にも珍しい「光る洞窟」があると聞き、これはぜひ行ってみねばと、全く洞窟に興味のない友人たちを引き連れてワイトモまでやってきました。ニュージーランド・北島の玄関口であるオークランドからは、3時間ほど南に車を走らせたところに位置します。

ワイトモとはマオリ族の言葉で、ワイ=「水」、トモ=「穴」という意味です。その名の通り、多くの鍾乳洞が点在し、それらの洞窟を合わせて「ワイトモ洞窟」と呼びます。これらの洞窟は現地の重要な観光資源であり、たくさんのツアーが存在します。

今回参加したのは、一般向けのかなりライトなもの。ビジターセンターに集合し、そこからツアー会社のバンで移動します。ガイドは40代くらいの現地の白人女性で、欧米人を中心とした10名程の参加者と共にバンに乗り込みます。15分ほどの移動の間、ガイドからワイトモの地質の特性や観光地としての歴史などの説明を聞きます。

我々を乗せたバンは鍵のかかったゲートを抜け、トコトコと砂利道を進んでいきます。周辺は酪農場なので、恐らく地主と契約したツアー会社しか入れないのでしょう。

バンを降り、整備された道を5分ほど歩き、途中ティータイムを楽しめる屋根付きの場所を抜けて、長い階段を降りると洞口に辿り着きます。洞口は縦長で、高さ15mほどありました。

部も整備されているため、ヘルメットもつけず、そのまま入洞します。少し奥まったところにドアがあり、ドアを開けてぞろぞろと奥へと進みます。ドアは洞内の本来の湿度を保つためのものであると教えてくれました。どうやら洞窟が「光る」ためには、湿度が関係あるようです。ドアの奥は立ったまま歩ける一本の通路が続いており、全体がライトで照らされていて、洞窟に慣れていなくても安全に観光することができます。

歩いていると、天井に小さな青白い光がポツポツと点在していることに気が付きました。近くで観察してみると、小さな青白い光からは20cmほどのネバネバした一本の糸が垂れていることがわかります。

そのまま最初のホールまで進みます。ホールは縦8m、横7m、奥行き20m程の立派なものでした。全員集合したことを確認し、ガイドが全てのライトを消灯しました。

 

すると、天井いっぱいに青白い光が広がっているではありませんか!
まるで、鉱脈が輝いているようです。普段、真っ暗な洞窟に慣れている身からすると、本当に不思議な光景でした。ガイドは青く光る天井を眺めながら、なぜこの洞窟が光るのかを説明してくれました。

この青白い光の正体は「土ボタル(ツチボタル、Glow-worm)」といって、ヒカリキノコバエというハエの幼虫です。土ボタルは青白い光を発して虫をおびき寄せ、垂らした粘液で絡め取り捕食するのです。光る幼虫の期間は半年〜一年。成虫になると光らず、ほんの数日で死んでしまうのだそうです。この土ボタルの生育環境に湿度が重要だからこそ、入り口にドアがあったのですね。

一通り解説を終えると通路のライトを点灯し、さらに奥へと進んでいきます。土ボタルばかり注目されますが、洞窟自体も大変立派で、二次生成物が豊富でした。洞内にはゆっくり流れる川もあり、観光化されていない空間も多いのではと感じました。

2つ目のホールでは全員がベンチに座り、再度ライトが落とされます。このホールは天井の一部が崩落していたのですが、2011年に発生したニュージーランド地震によるものだそうです。ガイドはさらに、洞窟内で発見された貝の化石を見せてくれました。

暗く幻想的な雰囲気の中、ワイトモ周辺の洞窟群は約3400万年前〜2300万年前の地層であり、元は海であったこと、このような大規模な鍾乳洞ができるまでには非常に長い時間がかかることなどの説明を受けます。囁くようなガイドの解説に、隣りに座った友人は完全に眠りに落ちていました。

その後、最奥のホールでマグネシウムフレアを使った昔の光源デモを見学しました。明るさの持続時間は数十秒と短いものの、案外明るくて驚きました。発見当時はこのように探検されていたのかと思うと、当時の洞窟探検家には頭が下がる思いです。ただ、少し煙が出ていたので、洞内環境に悪影響が無いか心配になってしまいました。

帰りは同じルートを引き返します。結局、洞内の滞在時間は約1時間でした。

出洞後は、行きに通った屋根付きの場所でティータイムを楽しみます。マオリ族のハーブ「カワカワ」という植物のお茶を飲みつつ、「光る洞窟」について友人に感想を聞いたところ、洞内ではよく眠れたと好評でした。

(林田 記)